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[感想]渡橋すあも「アンドロイドは柱を跨ぐ」(電柱アンソロジー)

※「人は死んだら電柱になる」収録作品の感想です。この感想を書いたのは2年前ですが、機を逃しお蔵入りになっていたので、公開します。
※ネタバレを含みます。
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 アンドロイドである「パオ」と「ノラ」二人の、一端のエピソード。話自体は全体像の一部だけを切り取ったような構図となっていて、その潔さに感服を覚えます。切り取った一部であるのに、情報の果断な取捨選択があったのではないかなと思わせるほど、話にひろがりが感じられました。
 人が死に、電柱の姿として生えきると周囲の人々はその人のことを忘れてしまう。しかしアンドロイドは電柱のデータを解析することで死んだ人のことも忘れずに覚えておくことができる。この点に人間性とアンドロイドの逆転を感じ、面白かったです。パオとノラも魅力的な造形で、電柱に乗るノラを見上げているときのパオの表情や、p.46のパオのあきれ顔、その右のコマのノラの表情など、特に好みです。
 しかし、「町を出る」という設定が少し唐突だったかなと思いました。パオたちが町を出られない前振りがほとんど描かれていませんでした(パオの「あんな店ずっと居たくないけどボクには決心がつかない」くらいかな)から、ノラの「出れんの?」には初読時少し頭がハテナだったり。そこだけもったいなかったかな、と少し思いました。
 データを通して「覚える」ということを綺麗に描き切った、ひろがりのある作品でした。

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小伏史央(こぶせふみお)

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