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詩の威を借る

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 間遠に落ちる(街並み)は次第に
 ジオラマ模型となり
 雲間の先で隣人は
 ビールを零した

 数時間前に書いた一節です。わけあってしばらくの間ろくに執筆ができていなかったので、よしここはリハビリに短い詩(poetry)でも書くかと筆をとったのですが、そもそもpoetryはそんな気休め程度に書ける代物でもなく、ここで力尽きたのでした。
 それで書いていて気が付いたのですが、どうやら自分は、詩を書く際どうしてもストーリー性を重んじてしまうようなのです。技巧よりもストーリーを、という姿勢は、あまり褒められたものではありませんし、その「逃げ」に走った結果うまれたのがpoetrieであるのですが、よくよく考えてみると不思議だなぁと。
 対して小説を書くとき、自分はストーリーよりも、技巧に対してより強い興味を懐いているような気がします。語り部然り、文体然り。音楽小説なんて極端な例で、ストーリーを意図的に排することに作品としての価値を置いているのですから、おかしなものです。
 詩(poetry)を書こうとすると、なぜかストーリー性を取り入れようとする自分が生まれ、
 小説を書こうとすると、技巧を追い求める自分がいる。
 このある種の倒錯は、単なる個性とかいうやつではありますが、こうして意識してみると、非常に不思議に感じます。そしてこの特徴は、今の自分が詩を書くのを苦手としていて、小説ばかりを書いている説明になっているのかもしれません。
 そうして考えてみると、自分がいままで書いてきたpoetrieは、詩の威を借りた小説だったのかもしれないのだなぁと。自分は昔から小説以外のものは書いていなかったのかもしれない、と、ブランクを空けて振り返ってみると、そんな感想を懐くのでした。

 今回はこんな感じで。自分語り。
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小伏史央(こぶせふみお)

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